はじめに
熱が出てだるい、頭痛がして眠れない、口内炎で食事がおいしく食べられない……
このように体調が悪い時、皆さんはインターネットで自分の症状について調べ、対策を知りたいと思うことがあるだろう。
しかし、インターネットは不特定多数の人間が情報を発信できるツールだ。当然、医者や医療従事者でなくても医療情報を発信することができる。当然、中には全く医学の知識のない人間が眉唾ものの情報を垂れ流していることも珍しくない。
人間の身体はデリケートである。間違った情報を鵜呑みにして余計に体調が悪化してしまうようなことは避けたい。
そこで、本稿ではできるだけ正確で信頼性の高い医療情報にアクセスする方法について説明していきたい。
信頼性の高い医療情報ソース一覧
まず、筆者が考える信頼性の高い医療情報ソースを列挙する。
- 厚生労働省のHP
- 製薬企業のHP
- 大学や研究機関のプレスリリース、研究室のHP
- 医療機関のHP
では、それぞれについて解説していこう。
厚生労働省のHP

これはまず信頼していい情報源である。というか厚生労働省がしっかりしていなかったら国の信用が失われてしまう。
厚生労働省HPの「健康・医療」のページには、「健康」「食品」「医療」「医療保険」「医薬品・医療機器」「生活衛生」「水道」の七項目がある。これらの中から、サイト内検索等も駆使して自分の欲しい情報を見つけていくと良い。
例えば、熱が出て身体がだるいが、ただの風邪かインフルエンザか判断がつかない、といった状況でも、厚生労働省HPで「インフルエンザ」と検索し「インフルエンザQ&A」というページに辿り着けば、次のような情報が得られる。
Q.1: インフルエンザと普通の風邪はどう違うのですか?
一般的に、風邪は様々なウイルスによって起こりますが、普通の風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳等の症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。
(引用元:厚生労働省 インフルエンザQ&A)
一方、インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴です。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も見られます。お子様ではまれに急性脳症を、御高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を伴う等、重症になることがあります。
欠点といえば、関連法案や自治体向け情報も一緒に掲載されているために、どこに自分の欲しい情報があるかが一目でわからないことだろうか。
製薬企業のHP
次に信頼性の高いサイトとしては、製薬企業のHPが挙げられる。
何故製薬企業のHPが信頼性が高いか、それは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬
薬機法第六十六条には、医薬品等の誇大広告の禁止を定めた条文がある。製薬企業は薬を売るのが目的だが、この条文があることできちんとしたデータを示さないと自社製品を売り込むことができない。そのため製薬企業が示す医療情報はきちんと精査されており、信頼性が高いと考えてよい。
大学や研究機関のプレスリリース、研究室のHP
大学や各種研究機関の研究成果に関するプレスリリースは、基本的に新しい研究成果が論文雑誌に掲載された際に発表される。論文雑誌には基本的に査読と呼ばれる制度があり、内容の新規性、合理性等について専門家が評価する。よってプレスリリースに載っている情報はある程度の信頼性が担保されていることになる。
また、研究者は論文として発表されている情報をもとに研究し、また新たな論文を発表するというのが基本である。そのため、大学や研究機関の研究室HPでは、論文として発表された情報をもとに研究内容を紹介している。これも情報の信頼性が高いといえる根拠である。
医療機関のHP
当然、本業の医者が発信している情報は信頼性が高い。
一方でインターネットで掲載される「医療行為」に関する広告は、「医薬品」とは異なり明確な法規制は存在していなかったため、稀に不正確な情報が紛れ込んでいることがあった。しかし2018年6月より医療法が改正され、インターネットのHP等についても広告規制の対象になったため、そういった情報は淘汰されていく傾向にあるだろう。
まとめ
このように、「どういった機関、人物が情報を発信しているか」という視点は情報の信頼性を確かめる上で良い判断材料になる。ネット上に氾濫している情報をただ眺めるだけでなく、こういった視点を持って情報を取捨選択していくことで、有益な情報収集に繋がるだろう。
